日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
機能性子宮出血の細胞学的検討とその臨床的意義について
鈴木 正明松田 静治吉沢 幸子安間 嗣郎鈴木 節子
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 27 巻 3 号 p. 375-380

詳細
抄録

機能性子宮出血59例について, 子宮内膜細胞診と同時に施行した子宮内膜組織診を比較し, その臨床的意義について検討した.
1. 子宮内膜細胞診にて増殖期型で子宮内膜組織診にて増殖期像を示したものは92%であり, 分泌期像は1例もなかった.
2. 子宮内膜細胞診にて分泌期型で子宮内膜組織診にて分泌期像を示したものは93%であり・増殖期像は1例もなかった.
3. 子宮内膜細胞診にて混合型で子宮内膜組織診にて増殖・分泌期混合像つまり子宮内膜剥脱不全を示したものは25%のみで, 増殖期像が50%, 分泌期像が25%であった.
4. 子宮内膜細胞診で問質細胞集塊像と拡張腺腔形成が組み合わされた症例の87%は腺嚢胞性内膜増殖症であった.
以上のことより機能性子宮出血における子宮内膜細胞診は一般的に予後良好な排卵性分泌期出血か再発傾向があり比較的予後不良な無排卵性増殖期出血かの鑑別に組織診より迅速に診断できるのでそのホルモン療法をするうえで有用であると思われる. また腺細胞および問質細胞の量的・形態学的変化から腺嚢胞性内膜増殖症を予測することはある程度可能であると考える.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top