日本臨床細胞学会雑誌
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婦人科正常組織の細胞分散法とそのhistogram
棟方 哲
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1988 年 27 巻 4 号 p. 468-476

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抄録

婦人科悪性病変のflow cytometry (FCM) による解析の基礎として, 正常子宮腔部, 頸管, 体内膜の細胞分散法を種々考案し, それぞれのFCM histogramを作成した.
摘出子宮51例の腟部扁平上皮, 頸管内膜上皮, 体内膜上皮に対して化学的分散法と機械的分散法により細胞分散を試みた. 以下の方法によるものが, もっとも良好な分散成績を得た.
a) 子宮腟部扁平上皮: 2,000U/ml dispase 60分間とultra disperser 30秒間処理
b) 子宮頸管内膜上皮: 1,000~2,000U/ml dispase 60分間とultra disperser 10秒間処理.
c) 子宮体内膜上皮: 1,000~2,000U/ml dispase 60分間と21 gauge syringing 10回処理.
上記方法にて分散された細胞は, propidium iodide (PI) とfluorescein isothiocyanate (FITC) の螢光二重染色を施したのちFACS440にて測定しhistogramを作成した. 正常子宮腟部扁平上皮, 好中球, 頸管内膜上皮, 体内膜上皮ではそれぞれ特異な螢光分布を示した.
このことにより固形腫瘍のFCMによる解析が可能となった.

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