日本臨床細胞学会雑誌
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培養中皮細胞の形態学的観察
第一報組織化学所見および走査電顕像について
福冨 順子岩田 隆子高橋 睦夫山下 勝村上 喜信
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1988 年 27 巻 4 号 p. 518-530

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抄録

3例の体腔液 (腹水: 肝硬変を伴う肝癌1例, 胸水: 胃癌の胸膜転移1例, 悪性中皮腫1例) を培養し, その培養細胞について組織化学および走査型電子顕微鏡 (SEM) による観察を行い以下の結果を得た.
1.3例のいずれからも中皮細胞の増殖が認められた. 増殖細胞は上皮細胞様 (E型), 線維芽細胞様 (F型), 巨細胞 (G型) の3型に分けられた.
2. SEM像ではblebの多い体腔液中の中皮細胞に対し, 培養中皮細胞ではmicrovilli (MV) が豊富で, 体壁に付着している状態に類似していた. また, 同型の細胞内でもMVが長く分布が密なもの, 短くて疎なものなど, MVの分布形態に差を認めた.
3. 悪性中皮腫の胸水から得られた培養細胞は, 培養前の中皮細胞に比べ, 大小不同や核小体の肥大など細胞異型がより明らかとなった. また, 活動性中皮細胞由来の細胞と比較しても細胞が不揃いで, pilingupなど悪牲を思わせる増殖態度を示した.

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