日本臨床細胞学会雑誌
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副腎皮質癌の1例
鈴木 君義木村 恒子大野 喜作丸山 正董本田 善九郎古川 俊隆田林 晃田久保 海誉
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1988 年 27 巻 6 号 p. 1011-1015

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抄録

59歳男性の左副腎皮質癌の1症例について, 細胞学的所見を中心に報告した. 腫瘍は8×6×8cmの大きさで, 2409の球形の腫瘤であった. 組織学的には大型で, 類円形の腫瘍細胞の髄様の増殖からなり, 静脈侵襲や多数の核分裂像を認め, 副腎皮質癌と診断された. 捺印細胞所見では, 腫瘍細胞は主に集塊で認め, 時に孤立散在性に出現していた. 細胞質はライトグリーン好性で辺縁は不明瞭であった. 核は大小不同が著しく, 核形不整も目立っていた・核クロマチンは微細穎粒状から穎粒状で増量し, 不均等分布を示していた. 核小体は1-3個認め, 類円形で目立っていた. また単核および多核の巨細胞が出現し, 時に核分裂像を認めた. 従来副腎皮質癌の細胞学的所見を中心とした報告は乏しいが, 今回の副腎皮質癌の捺印細胞診においては, 腺腫および腎腺癌との鑑別が容易であった.

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