日本臨床細胞学会雑誌
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大唾液腺腫瘍の細胞診
中林 洋高成 秀樹矢谷 隆一坂倉 康夫野田 雅俊白石 泰三伊藤 忠弘
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1988 年 27 巻 6 号 p. 875-881

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抄録

大唾液腺腫瘍の31例について, 組織像と対比し, 細胞診による組織型診断, 分化度判定の可能性を検討した. 多形腺腫では, 上皮性成分とともに問葉系成分が認められ, 後者は多染性を示す細線維状の基質を伴っていた. また, 筋上皮細胞の出現は, 多形腺腫に特徴的な所見と考えられた. Warthin腫瘍では, oncocytesと背景に多数のリンパ球が認められれば, 診断は比較的容易と考えられた. 腺様のう胞癌では, 球状の粘液塊を取り囲む小型細胞がみられ, 組織学的に分化度の低い例には, 細胞像でも高度の異型性が認められた. 粘表皮癌では, 表皮様細胞と粘液産生細胞がみられ, 大型の粘液産生細胞からなる球状の細胞集塊がみられる例もあった.
上記のように, 各々の組織型を示唆する特徴的な細胞集団と細胞所見を呈する例では組織型の推定が可能であり, 腺様のう胞癌では, 細胞異型度と組織学的分化度がよく平行する結果が示された. 本報告は術中腫瘍割面の塗抹標本を基としているが, 穿刺吸引細胞標本でも6例中5例において組織型を推定し得た. 今後, この臓器の解剖学的位置から考えて, 穿刺吸引細胞診が適応される臓器の1つになると思われる.

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