日本臨床細胞学会雑誌
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前立腺穿刺吸引細胞診
腺癌の分化度別観察と前立腺肥大症の細胞像
入江 砂代Fritz LinMarilee MeansMarilyn DavisSusan CookMaureen E. Miller
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1988 年 27 巻 6 号 p. 898-903

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抄録

前立腺の経直腸的穿刺吸引細胞診を施行, 同時に病理組織診断が明らかとなった94例につき, 前立腺肥大症例および癌例の分化度別にみた細胞学的特徴を観察し以下の結果を得た.
前立腺肥大症では中~ 大型のシート状集団として出現, 細胞質豊富で境界明瞭である. 核は平均6.8±0.71μmと小型で大小不同に乏しい. 核小体の出現頻度は26%と低く, 小型で不整形のものがみられた. 一部, 炎症性病変をともなった例において異型細胞の混在をみた.
癌例では重積性集塊が出現, 腺腔様配列も頻出し, 分化の低下とともに結合性も緩くなり孤在細胞が混在する. 核は平均8.63±1.26μmと大型となり, 分化度別には高分化型8.15μm, 中等度分化型8.60μm, 低分化型9.36μmと低分化になるに従い大型化を示していた. 核小体は類円形のものが多く, 大きさ1<μm以上が85%を占め, 低分化型になると2<μm以上が61.7%と大型化する傾向にあり, 核小体が類円形で2μm以上の場合, 癌の可能性がきわめて高いと考えられた。癌3者間の分化度別特徴については細胞の出現状態, 個々の細胞の詳細な観察により病理組織像に近い診断が得られるものと考えられ, 穿刺細胞診の前立腺領域への適用は有用であると考える.

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