1988 年 27 巻 6 号 p. 919-925
細胞診断は受付から報告までの過程にいろいろな人が関与し, 各過程において, 誤診の原因となる操作, 判断が存在する.
観察対象としての癌細胞の見落としは細胞診断の基本に関わる重大な問題である. 癌細胞を効率よく集めるような細胞採取法, 標本作成法の工夫がされている. しかし, いかによい標本を作成しても, スクリーニングにおいて見落とすと細胞診断の目的を果たし得ない.
今回, 細胞検査士資格更新のための日本臨床細胞学会教育委員会主催のワークショップにおいて, 癌細胞を少数含む4枚の標本を, それぞれ3分間ずつで, 60名の細胞検査士にスクリーニングしてもらった. その結果, 検鏡面積, 50×24mm2, 40×24mm2では, 全員4例中2例の癌細胞を見落とし, 30×24mm2では約6割の人が4例中2例の癌細胞を見落とした.
また, スクリーニングにおける癌細胞の見落としと細胞検査士資格取得後の年数との間には明確な関係はみられなかった.