1981年から1986年までの6年間に, 島根県の子宮癌集団検診を受診した30歳以上の婦人は178,768人であった. その中で子宮体部癌肉腫が2例, 子宮体癌が3例発見された.
子宮体部癌肉腫の2例は56歳と64歳で, 2例とも閉経後の婦人であった. 子宮癌集団検診時に, 2例のうち1例は性器出血などの訴えは全くなかったが, 他の1例は茶褐色帯下の増加を訴えていた. この2例の集検時における子宮頸部綿棒擦過細胞診標本を検索したところ, 悪性細胞のうち, ほとんどが子宮内膜腺癌の剥離細胞を思わす細胞であったが, 一部子宮内膜間質肉腫を推測する非上皮性悪性細胞が認められた. 孤立散在性, 時に集簇的に出現する細胞は, 大型でレース状の細胞質を持ち, 核は紡錐状またはラグビーボール状で, クロマチンは繊細, 微細顆粒状であった.
この2例にはそれぞれ, 準広汎子宮全摘出術および広汎子宮全摘出術が施行された. 病理学的診断は2例とも子宮体部癌肉腫であった.