日本臨床細胞学会雑誌
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肝血管筋脂肪腫の1例
捺印細胞所見について
堀部 良宗笠原 正男細田 洋一郎平野 剛是松 元子川村 貞夫椎名 栄一
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1988 年 27 巻 6 号 p. 994-1000

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抄録

髄外造血を伴った肝血管筋脂肪腫 (angiomyo-myelolipoma) の1例を経験したので, 細胞像所見を中心に組織学的検索を行い, 文献的考察を加え報告した. 症例は48歳, 男性. 主訴は上腹部痛. 諸検査の結果, 肝腫瘍が認められため腫瘍摘出術が施行された. 組織学的に腫瘍は中小の血管が増生し, それらを中心に円形, 楕円形ないし紡錐形の平滑筋細胞が取り囲み, その間に脂肪細胞が埋めるように増生していた. さらに巨核球, 赤芽球, および顆粒球が血管内腔にみられた. 細胞所見は組織像をよく反映していた。出現細胞の主体は平滑筋細胞で, それらは楕円形ないし類円形で平面的集団もしくは孤立散在性に出現していた. 血管内皮細胞は管状または線維状形態を示し, 平滑筋細胞集団に混在していた. 脂肪細胞は大小の脂肪滴, 成熟脂肪細胞, および泡沫細胞として出現していた. また赤芽球, 骨髄巨核球が散見された. 本例でみられた平滑筋細胞の一部に核の大小不同, 核形不整, 大型の核小体などの異型性がみられたため肝細胞癌, 非上皮性悪性腫瘍との鑑別が必要であった. 細胞像から肝血管筋脂肪腫の診断は平滑筋, 血1管内皮細胞, 脂肪細胞, さらに造血細胞を得られれば診断可能と考えられた.

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