きわめてまれな卵巣腺肉腫の1例を経験し, 細胞組織学的検討を加えた.患者は46歳の主婦で, 下腹部腫瘤にて他院で開腹手術を受け, 肉眼的に術不能の悪性腫瘍と考えられ, 組織生検のみが行れた.組織学的には, 間質の一部にやや異型性を認めるも核分裂像はなく, endometriosisが疑われた.各種治療後も腫瘍の縮小が認められないため, 約1年後, 当科にて悪性腫瘍の診断のもと, 腫瘍は子宮・両側附属器・一部大網とともに摘除された.肉眼的に, 両側卵巣は腫大し, それに連続して乳頭状腫瘤が多数あり, 全重量は500gに及んだ.割面は赤褐色充実性で, 一部は嚢胞状を呈していた.組織学的には, 内膜腺型の良性の上皮と, 細胞密度の高い異型性のある間質細胞から成っており, 問質腫瘍細胞には核分裂像は認められないが, 特に腺腔構造に沿って細胞密度が高くなっていることより, 腺肉腫と診断した.腹水中には腫瘍細胞は認められなかったが, 腫瘍の捺印細胞診では, 少数の腺上皮のほか, 異型性を示す間質細胞が認められ, 組織所見をよく反映していた.3年後骨盤内再発を来たしたが, 再発腫瘍は原発腫瘍と組織学的に類似するも, 間質細胞に若干の核分裂像 (11/10 HPF) が認められた.