日本臨床細胞学会雑誌
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副腎褐色細胞腫の細胞診
免疫細胞化学および電子顕微鏡的観察を中心に
岩 信造田原 義孝今北 正美植田 初江由谷 親夫増田 一吉
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1989 年 28 巻 3 号 p. 438-443

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抄録

褐色細胞腫5症例の捺印細胞像, 分泌顆粒検索の目的に酵素抗体法ならびに電子顕微鏡的観察を行った.
1) 褐色細胞腫の特徴所見は上皮様の結合塊の配列がみられ, 連珠状の多核細胞および相互封入像が5症例中全例に認められ, 核内空胞は5症例中3例に認められた.
2) 細胞質は広く, ライトグリーンで細顆粒状に染色された.
3) 細胞, 核ともに大小不同が著明であったが, クロマチンの増量がみられるものの細顆粒状で, 均等分布を示した.
4) 酵素抗体法では細胞質あるいは核内空胞にendocrine granule constituents (以下, EGC) が顆粒状に陽性を示した.
5) 電子顕微鏡的観察で腫瘍細胞の細胞質に電子密度の高い分泌顆粒を確認した.
以上のことから抗EGC抗体を細胞診に応用することは内分泌系腫瘍のスクリーニングに有用と思われた.

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