日本臨床細胞学会雑誌
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遠隔転移を示した悪性胸腺腫の1例
各務 新二勝田 浩司矢谷 隆一
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28 巻 (1989) 4 号 p. 505-509

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抄録

遠隔転移を示した胸腺腫の1例を経験したので細胞学的所見の検討および文献的考察を加え報告する.
症例は78歳, 男性. 臨床経過は右臀部腫瘤に気付き精査のため当院紹介され, 胸部X線像で縦隔腫瘍が認められた. 本症例の細胞学的所見は, 小型で細胞質の乏しい円~ 楕円形, 短紡錐形細胞が集合性ないし散在性に出現し, 細胞および核の大小不同は乏しかった. 核クロマチンはやや増量し, 細顆粒状で均等に分布し, 核小体は不明瞭であった. 核分裂像はほとんどみられなかった. 病理解剖所見では, 胸腺腫瘍は肉眼的には出血壊死が強く, 周囲臓器への浸潤および胸腔内播種はみられなかったが, 遠隔転移として両肺, 肝, 左鎖骨, 第6肋骨, 腸骨に認められた. 本症例で悪性を示唆する細胞所見としては, 上皮細胞 (主として円~楕円形) 優位であること, 出血壊死がみられること, 一部の細胞で核クロマチンが増量し, 粗顆粒状を呈することがあげられた.

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