表皮下より発生し, びまん性の発育形式をとる皮膚Merke1細胞癌を経験した. その腫瘍細胞像は小円形細胞により構成されており, 細胞学的には腫瘍細胞の細胞質に1個の小円形状物質を認めた. 免疫組織化学的にはEMA, keratin, NSE, およびneurofilamentに陽性を示し, 電顕的にはdense-core granulesとintermediate filarnentsが細胞質内に存在することが特徴的所見であった. また細胞学的に認められた小円形状物質は免疫細胞化学的にneurofilament陽性を示し, 電顕所見におけるintermediate fi1amentSと一致する部位に存在していた. この物質の存在が他の小円形細胞腫瘍との鑑別点になると考えられた. しかしneurofilamentをもたないタイプのMerke1細胞癌もある. この腫瘍は特に肺小細胞癌と細胞形態, 免疫組織化学的所見がよく類似し, その鑑別には電子顕微鏡所見に頼らざるを得なかった.