日本臨床細胞学会雑誌
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Danazolによる子宮内膜増殖症の細胞・組織学的変化
塩川 滋達手島 英雄八木 裕昭横須賀 薫藤本 郁野山内 一弘荷見 勝彦増淵 一正南 敦子佐野 裕作
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1989 年 28 巻 6 号 p. 775-780

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抄録

子宮内膜症の治療薬であるDanazolを, 子宮内膜増殖症患者9例に1日400mg, 6ヵ月間経口投与し, その病理組織学的, 細胞診断学的変化を検討した.
1) 嚢胞性腺増殖症7症例中全例がDanazolに反応し, 投与開始後1-12ヵ月で嚢胞性腺増殖症が消失した。7症例中4症例に投与終了後3-9ヵ月で嚢胞性腺増殖症の再発をみたが, Danazolの再投与によって嚢胞性腺増殖症は消失した.
2) 腺腫性増殖症2症例中1症例は, 投与開始後4ヵ月で腺腫性増殖症が消失した. 他の1症例は腺腫性増殖症が持続したため, 手術を施行した.
3) 子宮内膜増殖症のDanazolによる病理組織学的変化は直接萎縮内膜像を呈するタイプと, 増殖期内膜像を経て萎縮内膜像を呈するタイプの2種類みられた. それは, 月経周期の有無に関係した.
Danazolは子宮内膜増殖症に対し, 萎縮効果をもたらすことが病理組織学的, 細胞診断学的に裏付けられた.

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