1989 年 28 巻 6 号 p. 824-829
乳腺組織の凍結切片, 捺印細胞標本を対象に免疫細胞化学的方法 (ICA法) を用いて悪性腫瘍および良性病変のEstrogen receptor (ER) について検討し, 同時に生化学的方法であるDCC法と比較した.
ERは免疫細胞化学的に良性および悪性病変の上皮性細胞の核に局在した. またその染色性はさまざまであったが細胞標本は凍結切片をよく反映し穿刺吸引細胞診への応用が十分可能であると考えられた.
DCC法との比較においては凍結切片, 細胞標本ともに90%以上の一致率を示し, さらにはICA法を併用することによりDCC法に起こりうる誤陰性を減らすことに有用と考えられた.