日本臨床細胞学会雑誌
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酵素抗体法の細胞診への応用
特に粘性の少ない細胞診標本の固定法の検討
秋丸 琥甫庄司 佑清水 一片山 博徳枝川 聖子横田 隆大網 弘坪井 栄孝
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1989 年 28 巻 6 号 p. 835-841

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抄録

粘性に乏しい細胞診材料では, 従来の湿アルコール固定後に免疫染色を行う過程で, 頻回の洗浄によりスライドグラスから多くの細胞が剥離脱落するおそれがある. そこで, われわれは細胞の剥離を防ぐ固定方法を見出すべく, 系代剖養されたCEA産生のヒト結腸癌細胞株C-1浮遊液を用いて, 種々の固定を施行後にCEAの免疫染色を試みた結果, 塗沫後ただちにドライヤー (冷風) 乾燥させ, 4%パラホルムァルデヒド (PF) で固定する方法が細胞脱落が少なく胞体のCEAも良好に染色される成績が得られた. この固定方法で手術標本 (43例) に対してCEA染色を行い, 同一例の組織標本でのCEA染色成績と比較した. 腺癌標本27例中17例が組織でCEAが陽性で, このうち12例 (71%) が細胞標本でCEA陽性であった. 一方, 同時に施行された湿アルコール固定細胞標本では9例 (53%) が陽性であった.
免疫染色を行う細胞標本の性状 (粘性の有無) によっては, 従来の湿アルコール固定に加えて風乾PF固定も用い, 細胞の同定に役立てたい.

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