日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部擦過細胞診で診断された原発性胃低分化腺癌の1例
辻村 俊和田 昭石谷 智古田 美知子田中 育子橋野 義信
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1989 年 28 巻 6 号 p. 862-865

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抄録

胃癌が子宮頸部に転移することはまれであり, このため子宮頸部擦過細胞診で胃癌の転移を診断する機会はきわめて少ない. 今回, われわれは子宮頸部スメアーで転移性子宮癌と診断し, 胃癌の可能性を強く疑った症例を経験したので報告する.
症例は36歳女性. 腹部膨満感, 下腹部の圧痛を主訴として来院. 子宮頸部スメアーでClass V, 転移性子宮頸部癌が疑われた. 臨床的には胃内視鏡検査および生検組織診で低分化腺癌と診断された. 治療の効なく腎不全で死亡後, 剖検にてBorrmann IV型の胃原発性低分化腺癌が確認された.
子宮頸部スメアーは腫瘍背景に乏しいが, 少数の異型細胞が出現していた. これらの細胞は個々散在性にみられ, 胞体は空胞形成, 粘液貯留を示すものもあった. 核は核縁の不整, 肥厚を示しクロマチンの粗大凝集も認めた. 核小体はあまり目立たなかった. 一部の異型細胞は核の偏在が著しく印環型細胞であった. これらの所見から子宮頸部転移性癌, 特に胃癌からの転移が強く疑われた.

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