日本臨床細胞学会雑誌
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卵巣原発の中胚葉性混合腫瘍の1例
細胞・組織学的ならびに電顕的観察
熊井 健得伊東 英樹岡崎 隆哉橋本 正淑藤沢 泰憲新井田 富子土橋 求
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1989 年 28 巻 6 号 p. 872-880

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抄録

卵巣腫瘍において肉腫成分としてheterologous elementを有するmixed mesodermal tumorはきわめてまれで本邦では10数例の報告をみるにすぎない. 最近かかる症例を経験し, 細胞学的, 電顕的な検索を加えた. 症例は61歳, 2妊2産, 閉経51歳の主婦で下腹部腫瘤を主訴とし受診. 超音波診断CT診断にて骨盤内巨大腫瘍と腹水を認め, CA125 704U/mlにて悪性卵巣腫瘍を疑い, 両側付属器摘除術, 子宮全摘除術, 腫瘍と腸管癒着部切除・端端吻合術, 大網切除術を施行した. その後, 化学療法5クール施行後, CA125は正常値に復し, 現在術後12ヵ月で外来にて経過観察中である. 摘出物は下新生児頭大, 軟らかく壊死様の腫瘍でS字状結腸に癒着浸潤していた. 血性腹水約600mlを認めた. 捺印細胞診では, 孤立散在性の肉腫細胞と重積性で腺管様配列を示す類内膜腺癌細胞を証明した. 組織学的には類内膜腺癌と肉腫成分が混在する癌肉腫と考えられた. 肉腫成分についての組織の透過型電顕による検索では, 一部の細胞の細胞質内にthin filamentとthick filamentの2種類の細線維とZ帯の結合を認めたことにより, これについては横紋筋肉腫細胞と診断した. 腺癌成分についての同一捺印細胞の走査電顕, 透過電顕による観察では, 細胞はブドウの房状に集積し, 細胞表面の微絨毛が密な細胞と粗な細胞とを認め, 内部所見では巨大な核の辺縁性に核小体, 細胞間には接着装置を認め, 細胞内小器管は明らかではなかった. 以上の所見と文献とより本腫瘍のhistogenesisについて言及した.

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