日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
乳腺カルチノイドの1例
譜久山 當晃田久保 海誉松井 武寿江良 英人高山 昇二郎東 靖宏
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 28 巻 6 号 p. 919-923

詳細
抄録

48歳女性の乳腺カルチノイドの1例を経験したので, その細胞像を中心に報告する.
4ヵ月前からの乳腺腫瘤を主訴として来院し, 初診時左乳輪部に4.0×3.5cmの腫瘤を触知した. X線穿刺吸引細胞診にて, 悪性所見を得, 非定型的乳房切断術を施行した. ホルモンレセプター検査は, エストロゲンおよびフ. ロゲステロンレセプター陽性であった. 細胞所見は, 重積性に出現する比較的小型の細胞で, 細胞質は穎粒状でライトグリーンに淡染し, 泡沫状であった. 核は小型で類円形を示した. 核のクロマチンは穎粒状で中等度増量する異型性の乏しい腫瘍細胞であった. 病理組織学的所見としては, 腫瘍は充実性に増殖する大型の癌巣からなり, 腫瘍細胞は多角形を示し, 好酸性の細胞質と, 小型, 類円形の核を有していた. ときにロゼット様の配列を認めた. 腫瘍細胞は粘液染色陰性で, Grimelius法は, び慢性に陽性を示し, 酵素抗体CEA, NSE染色もまた陽性を示した. 電顕像では, 細胞質に多数の190~320nmの神経分泌型穎粒を認めた. 乳腺原発のカルチノイド腫瘍はまれで, 組織発生にも議論があるが, 上述の比較的異型の乏しい腫瘍細胞が得られた場合には, 乳腺の細胞診においても, カルチノイド腫瘍の存在を考慮する必要があると思われた.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top