日本臨床細胞学会雑誌
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尿中に悪性細胞が出現した原発性精嚢腺癌の1症例
山上 修林 茂子中山 淳勝山 努金井 正光山口 建二岡根谷 利一井門 慎介丸山 雄造
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1989 年 28 巻 6 号 p. 937-942

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抄録

検査所見, 病理所見, 免疫組織化学的染色所見から原発性精嚢腺癌と確診された41歳男性の症例を経験した. 本症例は尿中に多数の腺癌細胞が出現し, 諸検査の中で尿細胞診だけが悪性腫瘍の存在を示唆する陽性所見が続き, 細胞診が他臓器へ浸潤する前に発見されるきっかけとなった. 尿中に出現した異型細胞は核小体が明瞭な腺上皮系の細胞で, 核は偏在傾向が強く, 胞体は泡沫状, 多核白血球や組織球が多数認められる炎症性背景の中に, 辺縁明瞭な腫瘍細胞が平面的な細胞集団を形成する明細胞癌の特徴がみられた. 一部には乳頭状構造を有する細胞集団も認められたが, 腺管の形成は認められなかった. 手術材料の組織像は乳頭状腺癌で, 一部に明細胞癌の所見や靴鋲細胞の出現が認められた. 本症例は精嚢腺癌の組織発生を論ずるうえでも貴重な症例と考えられた. 尿中に出現する癌細胞の起源を的確に同定するために, 精管系上皮に由来する正常細胞あるいは腫瘍細胞の単に形態的な特徴だけではなく, 組織化学的に特徴的な反応を見い出す努力が, 今後必要であろう.

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