日本臨床細胞学会雑誌
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細小肝癌の穿刺吸引細胞診
肝細胞癌Edmondson分類を中心に
杉島 節夫横山 俊朗吉田 友子鹿毛 政義神代 正道入江 康司真島 康雄安倍 弘彦谷川 久一
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1990 年 29 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

細小肝癌46例の穿刺吸引細胞診について報告した.その病理組織学的異型度分類による内訳は, Edmondson I-II型9例, Edmondson II型35例, Edmondson III型2例であった.腫瘤の大きさと異型度との関係についてはEdmondson I-II型では10mm以下は1例, 11-20mmに8例, Edmondson II型では10mm以下に5例, 11-20mmに30例みられ, Edmondson III型では11-20mmに2例とも含まれていた.
細胞の大きさでは細胞長径平均値は正常肝細胞とEdmondson I-II型は同様の大きさであったが, Edmondson II型ではやや小さく, Edmondson III型ではふたたびほぼ同様な大きさであった. 核長径平均値は正常肝細胞, Edmondson I-II型, Edmondson II型, Edmondson III型の順で徐々に大きくなり, N/C比についても同様であった.
肝細胞癌の特徴的所見は核の腫大, 細胞質の狭小化, N/C比の増加, 核クロマチンの増量, 細胞集塊での細胞密度の上昇であった.Edmondson分類での異型度が高くなるにつれ, これらの所見は顕著となり, 細胞の出現状態についてもより大型の細胞集塊でみられ細胞密度がより高くなり細胞の重積性も著明となっていた.

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