日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部原発悪性黒色腫の1症例
浜谷 次郎大矢 良之内田 勝次杉田 道夫杉下 匡天神 美夫
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1990 年 29 巻 1 号 p. 59-63

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抄録

われわれはきわめて稀有な子宮頸部原発悪性黒色腫を経験し, その細胞形態を観察する機会を得たので, 細胞診断学的特徴を中心にコルポ診, 組織所見も併せて報告する.
症例は62歳, 主婦, 昭和57年11月5日集団検診で子宮膣部に溢血斑様の異常のあることを指摘され, 昭和57年12月20日来院.子宮膣部12-7時に黒褐色の腫瘤を認めたので, 擦過細胞診を行ったところ, 黒褐色-茶褐色の色素穎粒を含有した特徴ある異型細胞が認められた.その結果悪性黒色腫を推定し, 組織診で確認した.われわれが観察した細胞学的特徴は孤立散在性-シート状に配列した, 多形性細胞が大半を占め, 類円形細胞がこれに次ぎ, 細胞質に微細穎粒状のメラニン色素を充満していた.類円形細胞はメラニン色素が密に充満して, 核の観察ができないものも認められた.紡錘形細胞は少数認められたがメラニン色素を含有していなかった.核の極度の偏在や, 著明な円形巨大核小体, 明瞭な核内空胞, 細胞相互封入, bizarreな巨大多核多形性細胞など, 非上皮様, 上皮様の特徴を備えた興味ある細胞像を観察することができた.

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