日本臨床細胞学会雑誌
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パパニコロウ迅速染色法
杉本 敬三郎藤本 郁野
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1990 年 29 巻 3 号 p. 409-416

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抄録

パパニコロウ染色法は, 核染色後, 流水水洗色出しを行ない, 細胞質染色はOG-6液, EA液の2液を使用, 全行程約30分間を要する.今回われわれは, 迅速染色法の開発を目的に検討し, 以下の結果を得た.
1) 核染色液をGill's処方に基づき作製した.
2) 分別に0.5%塩酸・0.9%塩化ナトリウム水溶液を使用, 流水水洗色出しを省略した.
3) 細胞質染色は, OG-6液とEA-50液の2液の中から3色素を選び, 95%エチルアルコール溶液中にリンタングステン酸ナトリウムと混合使用することにより, 従来のパパニコロウ染色法と色調は類似し, 十分染色可能であった.
4) 流水水洗色出しの省略に伴い, 水道水のない場所での染色診断が可能となった.またそのような条件で使用可能な染色キャリヤートレイセットを開発した.
5) 槌色の程度は, 約2年間暗室保存において従来のパパニコロウ染色法と比べ差はなかった.
6) 両染色液とも作製後2年聞は染色可能であった.
7) 200ml染色槽で両液とも最低400枚, 1週間染色可能であった.
8) 染色全行程約5分間で, 迅速染色法として十分使用可能であった.

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