日本臨床細胞学会雑誌
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膝窩部原発淡明細胞肉腫 (clear cell sarcoma) の1例
特に喀痰および胸水細胞診所見
園部 宏真辺 俊一大朏 祐治高橋 保宮崎 恵利子岡林 恵美子高橋 秀行川下 哲
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1990 年 29 巻 3 号 p. 452-456

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抄録

Clear cell sarcoma (CCSa) がまれな軟部腫瘍であるので, これまで細胞診に関する報告は少ない.その由来に関しては, 現在メラノサイトとする説が最も有力であるが, 必ずしも一致した見解は得られていない・このたび, 喀痰および胸水細胞診中に腫瘍細胞が観察されたCCSa例で, その細胞診ならびに免疫染色所見に, 原発腫瘍の組織学的および免疫組織学的検討結果を加えて報告する.
39歳男性.右膝窩部に小指頭大の結節を生じ, 11ヵ月後に摘出した。病変は比較的境界明瞭, 弾力性硬, 2×3cm大で, 腓腹筋外側頭部腱膜に起こり, 割面は灰白色, 充実性, 分葉状を呈し, 組織診断はCCSaであった.以後経過良好であったが, 4年後に肺転移あよび胸水貯留をきたし, 喀痰および胸水中に上皮様腫瘍細胞が小集簇性~ 散在性に出現した.腫瘍細胞は, メラニン顆粒は認めなかったが, 大型類円形で淡明豊富な胞体を有し, 厚い核縁, 明るい核質を示し, 偏在する類円形核の中央にはきわめて明瞭な核小体を認めた.パパニコロー染色脱色後の胸水細胞診標本を用いた検討では, 腫瘍組織脱パラフィン切片での検討結果と同様に, 腫瘍細胞はPAS反応陽性, S-100蛋白陽性, HMB-45 (抗メラノーマ特異抗体) 陽性であった.以上のように, 本例における腫瘍細胞所見は, amelanotic typeの悪性黒色腫細胞の所見によく合致しており, CCSaのmelanocyte由来説を支持するものであった.

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