日本臨床細胞学会雑誌
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子宮内膜腺癌および関連病変における組織構築の解析 (第I報)
石井 保吉藤井 雅彦糸数 りさ張堂 康司佐久間 市朗小宮山 京子深堀 世津子後藤 昭子杉下 匡石田 禮載
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1990 年 29 巻 4 号 p. 487-492

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抄録

体内膜細胞診の判定に際しては, 細胞異型のみならず細胞集塊の構築, 特に細胞集塊からの分岐の状態の観察が重要であることを組織レベルで立証するため, 組織標本の連続切片を用いて組織構築の三次元的解析を行った.解析には正常体内膜5症例の体内膜腺25本, 腺腫性増殖症4症例の腺管25本, 高分化型体内膜腺癌 (G1腺癌) 3症例の腺管14本および6症例の絨毛様集塊30群を用いた.
腺管500μ の長さに換算した分岐数の平均は, 正常体内膜腺では一次分岐が2.2ヵ所, 腺腫性増殖症では一次分岐が3.5ヵ所, 二次分岐が0.2ヵ所に認められた.一方, 癌の腺管については一次分岐が16.0ヵ所, 二次分岐が1.9ヵ所, 三次分岐が0.2ヵ所, 四次分岐が0.2ヵ所に認められた.また, 絨毛様増殖を呈する癌組織については, 五次以降の分岐まで多岐にわたる分岐が観察された.以上の成績は, 内膜細胞診におけるこれまでの観察結果とよく一致しており, 細胞標本においても, 集塊の分岐の状態に十分注目する必要があることが示唆された.

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