日本臨床細胞学会雑誌
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脳腫瘍の免疫細胞化学的検討
加藤 拓高橋 久雄金 弘桶田 理喜武田 敏
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1990 年 29 巻 6 号 p. 806-812

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抄録

脳腫瘍45例における細胞塗抹標本を免疫細胞化学的に検討してみた.GFAPではependymomaを含めたglia系腫瘍に陽性であり, それ以外の腫瘍との鑑別に有用と思われた.またgliomaにおいては悪性度が高くなるにしたがい不均一性となり減少傾向を示した.NFPはglioblastomaの一部の症例とpituitary adenomaに陽性であり, glioblastomaにおいては異分化への発現が示唆された.VimentinはgliomaにおいてGFAPと逆相関する形で陽性となり, glioma細胞の脱分化が示唆された.Cytokeratinはmetastatic carcinomaとpituitary adenomaのみに認められ, 他の脳腫瘍との鑑別に有用と思われた.NSEは特異性を示さず多くの脳腫瘍に陽性であった.S-100はmetastatic carcinomaのみに陰性を示した.また染色性の違いにより細胞像がよく類似するmeningiomaとneurinomaとの鑑別にも有用と思われた.

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