日本臨床細胞学会雑誌
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喀痰細胞診疑陽性例の検討
三浦 弘之加藤 治文小中 千守木下 孔明石井 正憲古川 欣也三浦 玲子海老原 善郎Gita SAYAMI越川 真理子
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1991 年 30 巻 3 号 p. 417-422

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抄録

喀痰細胞診で疑陽性と判定された160検体について検討を加えた.肺癌, 隣接臓器癌109件, 臨床的に炎症性疾患・化生と診断されたもの41件, その他10件であった.悪性疾患109件中未治療が82件あり, そのうち49件が陽性, 11件が陰性と再判定可能であったが, 22件は疑陽性とせざるを得なかった.初回に陽性保留とした理由は, 細胞異型の弱さ, 異型細胞少数, 細胞変性であった.悪性疾患治療後の27例では, 再発再燃を認めた4件は陽性と, 他の4件は陰性と判定可能で, 19件は細胞変性から疑陽性とせざるを得なかった.炎症性疾患・化生41件では陰性と再判定可能な検体17件, 陽性判定可能な検体はなかった.陰性判定可能な検体のうち上皮の増殖性変化を示すものは, 強い炎症性背景と, 線毛または刷子縁をみつけることが肝要であった.
喀痰細胞診で癌の早期発見を有効に行うには, まず異型細胞をチェックすることにあるが, 再検鏡の結果なお疑陽性とせざるを得ない検体の処理が問題となった.実践では細胞所見および判定理由をコメントし, 細胞診の段階で再検査, 追跡, 精密検査といった指導区分を設けて方向づけをし, 提出医が臨床症状とあわせて判定することが望ましい.

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