日本臨床細胞学会雑誌
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鼻腔の悪性黒色腫7症例の検討
岡田 嘉右衛門正和 信英山田 喬岡田 真由美谷垣内 由之
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1991 年 30 巻 3 号 p. 431-438

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抄録

1976年より1990年の14年間に獨協医科大学に於て鼻腔の悪性黒色腫の7例を経験した.6例は鼻腔粘膜に黒色調を呈した腫瘍を認め, その表面はびらんないし潰瘍を呈し, 擦過により細胞を採取した.1例は切除した腫瘤の断端基部粘膜が黒色調を呈し, 切除組織から直接塗抹した.全例細胞診により悪性黒色腫と診断し得た.
7例の細胞学的所見は以下のごとくであった.メラニン色素の出現は6例 (86%), 核内空胞は4例 (57%), 巨大核小体は4例 (57%), 類上皮性配列は4例 (57%) に認められた.細胞学的型は類上皮型4例, 円型3例で紡錘型は1例も認めなかった.病理組織学的検索は5例のみに施行したが, 紡錘型は1例も認めなかった.鼻腔の悪性黒色腫の形態は皮膚のそれに比し紡錘型が極めて少なく, 本領域の悪性黒色腫の予後が不良であることと関係があるように思われた.

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