日本臨床細胞学会雑誌
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細胞「配列」の定量化と子宮内膜増殖性病変の解析
手塚 文明東岩井 久遠藤 のり子伊藤 圭子千葉 清美並木 恒夫鈴鹿 邁亀 セツ子
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1991 年 30 巻 3 号 p. 455-459

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抄録

細胞診における悪性の判定では, 細胞個々の示す異型だけでなく, 核間距離の不均一や核の重積といった細胞の「配列」異常を把握することも大切である.私どもは細胞「配列」の異常を定量する計測方法を開発し, さらに子宮内膜細胞診への応用を試みた.
標本平面に分布する細胞 (核) の「配列」はDP (distribution pattern) index (=rn0) によって定量的に表すことができる.ここでn0は核の密度, rはすべての核からそれぞれ最も近くにある核までの重心間距離の平均である.このDP indexは核が正六角形格子の交点の配列を示せば0.877, 等間隔規則性を失ったランダムな配列を示せば0.5, 完全に1点に重なれば0となり, 配列状態に従ってこれらの値の間を連続的に変化する.
子宮内膜から採取された細胞集団についてDP indexを求めると, 正常 (22例) で0.826±0.029, 内膜増殖症 (16例) で0.735±0.019, 高分化型腺癌 (19例) で0.641±0.046となり, 3群間で明らかな有意差が認められた (p<0.01).子宮内膜の増殖性病変では細胞「配列」に異常が生じ, 本来の規則性が失われている.これらの変化を定量的に把握することは, とくに内膜増殖症と高分化型腺癌の鑑別に有用な一助となる.

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