日本臨床細胞学会雑誌
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経過とともに大細胞癌ないし腺癌様細胞像を呈した肺小細胞癌の1例
平田 仁水島 豊矢野 三郎北澤 幹男福村 健三輪 淳夫
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1991 年 30 巻 3 号 p. 507-511

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抄録

49歳, 男性.1988年5月左胸水貯留にて発症した左上葉の腫瘍.胸水細胞診で腺癌, 左B1+2閉塞部の生検より小細胞癌と診断されており当初二重癌が考えられた.1988年12月まで喀疲細胞診にて小細胞癌と診断されていたが, 89年4月入院時には, 腺癌・扁平上皮癌・小細胞癌とさまざまな判定が下された.
腫瘍マーカーではCEAが治療に反応せず経過中上昇し続け, CA125は治療後いったん正常化したものの再上昇を示した.一方NSEは経過を通し明らかな異常を示さなかった.
剖検において腫瘍の一部では小細胞癌と診断される部分もみられたものの, シート状の配列を思わせる部分や大細胞癌様の部分がかなりの部分を占めており, 小細胞癌の部分より連続性に移行していた.粘液産生を認める細胞もわずかながらみられた.
これより一部に腺癌の性格を有していた小細胞癌が, 治療により小細胞癌の成分が減少し, 治療に反応しにくい腺癌・大細胞癌の性格をもつ腫瘍細胞が増殖していったものと考えられた.Retrospectiveには, 細胞診においてもこのような変化が経過とともに追え肺癌のheterogeneityを示す興味深い症例と考えられた.

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