1991 年 30 巻 3 号 p. 527-531
38歳の末期子宮頸癌患者 (扁平上皮癌) が心嚢転移によると考えられる心タンポナーデをきたし, 心嚢液細胞診を行ったところ塗抹法では陰性であったが, Cell Block法により癌真珠を含めた扁平上皮癌組織が確認された.
近年, 子宮頸癌患者で心嚢液細胞診により心転移を診断したとする報告がなされているが, いずれも塗抹法によるものであり, Cell Block法まで用いて初めて癌転移を証明したとする報告は少ない.本症例における心タンポナーデ発症機序, さらにそれと関連して塗抹法細胞診陰性の原因につき考察し, 癌性心嚢液細胞診におけるCell Block法細胞組織診併用の必要性を強調した.