日本臨床細胞学会雑誌
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膀胱明細胞癌の1例
清水 亨福島 範子朝隈 蓉子千野 秀教野村 利之舟橋 信司
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1991 年 30 巻 3 号 p. 539-545

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抄録

症例は72歳の男性で, 主訴は肉眼的血尿である.三角部, 後壁および左側壁にまたがる非乳頭状腫瘍を認め, 自然尿, 膀胱洗浄液中に明るい細胞質をもつ腫瘍細胞が認められ, 豊富なグリコーゲンと特徴的な標的状の細胞質内空胞を認めた.組織学的に病変の主座は粘膜固有層と筋層にあり, 明るい細胞質をもつ腫瘍細胞が充実性胞巣構造, 一部不完全な管腔構造を示したが, hobnail型の細胞はなく, また乳頭構造を示す部分はなかった.本症例は電顕的にも卵巣や子宮の明細胞癌と共通の所見を認めたが, 腺様化生を伴った移行上皮癌としても説明しうるものである.

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