日本臨床細胞学会雑誌
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アミラーゼ産生卵巣類内膜腺癌の1例
衣笠 万里赤堀 泰一郎岡村 昌幸長谷川 和男武内 久仁生高橋 満智子指方 輝正石橋 万亀朗
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1991 年 30 巻 3 号 p. 600-606

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抄録

アミラーゼ産生を示した卵巣類内膜腺癌の1例を経験したので報告する.
患者は56歳, 未妊の主婦で開腹術により卵巣癌StageIIIcと診断された.術前に血清および尿中アミラーゼが異常高値を示し, アイソザイム分析では唾液腺型が優位であった.主病巣を摘出した後, アミラーゼ値およびアイソザイムパターンはいずれも正常域に復した。術後組織診で類内膜腺癌と診断され, 捺印細胞診では孤立散在性, 重積性もしくは棚状の配列を示す腺癌細胞が認められた.酵素抗体法により捺印細胞および摘出組織中にアミラーゼの局在が証明され, 電顕的にも腫瘍細胞中にzymogen様顆粒の存在が認められたことから, 本症例はアミラーゼ産生卵巣癌であることが確認された.術後化学療法および放射線療法を施行したが, 腹水の貯留および肝転移が出現し, 術後9ヵ月目に死亡した.この間, 血清アミラーゼ値およびアイソザイムパターンはいずれも正常域にあった.
今回の症例経験より, アミラーゼを腫瘍マーカーとして過大評価すべきではないと考えるが, 原因不明の高アミラーゼ血症の症例などにおいて細胞診断上のマーカーとして今後も応用可能であると思われた.

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