日本臨床細胞学会雑誌
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担癌患者体腔液中の腫瘍細胞とサプレッサーTとの関係
金子 千之社本 幹博新里 雅範田嶋 基男蒲 貞行栗田 宗次
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1991 年 30 巻 6 号 p. 1013-1017

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抄録

胸・腹水は末期癌患者をはじめ, 結核性胸・腹膜炎, 化膿性胸・腹膜炎や肝硬変症などでよく貯溜してくる.担癌患者の胸・腹水中に多数のTリンパ球が出現してくることをすでにわれわれは報告している.今回は担癌患者体腔液中におけるヘルパーTとサプレッサーTについて検討した.すなわち体腔液中に腫瘍細胞が認められる場合, ヘルパーTよりサプレッサーTの比率の高い症例の多いことが判明した.しかし, 担癌患者でも腫瘍細胞が認められない場合や非癌患者ではヘルパーTの占める割合が高かった.さらに体腔内薬剤投与例で13例中6例は投与前にはサプレッサーTが多かったが, 投与後にヘルパーTが増加していた.すなわちヘルパーTとサプレッサーTの比率が逆転した.そのうちの6例中3例においては癌細胞が消失し, このうち1例は一般状態が好転した.薬剤を投与することにより, ヘルパーTの比率が増加することは, おそらく, 患者の免疫能の改善を反映しているものと思われる.担癌患者体腔液中においてサプレッサーTの比率が高いことは担癌患者の免疫機能の低下を強く示唆しているが, 腫瘍細胞に存在するなんらかのファクターがサプレッサーTを誘導している可能性も考えられた.

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