日本臨床細胞学会雑誌
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擦過細胞診で感染細胞がみられたヘルペス食道炎の1例
各務 新二石原 明徳上森 昭山中 秀高白石 泰三矢谷 隆一
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1991 年 30 巻 6 号 p. 1073-1077

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抄録

擦過細胞診でウイルス感染に特徴的な細胞像を示したヘルペス食道炎の1例を報告する.
患者は78歳の女性. 脳梗塞後遺症にて通院中, 左大腿骨々幹部骨折にて入院し, 貧血および吐血をきたしたため, 上部消化管内視鏡検査が施行された. 食道の擦過細胞像では, 背景に好中球を多数認め, N/C比大の円形上皮細胞が単一または小集団でみられ, 核構造はスリガラス状に変化し, 核縁の肥厚がみられた (full型核内封入体). また一部の細胞では, 核の中心部に大型の好酸性封入体 (Cowdry A型) がみられ, それぞれ多核巨細胞形成がみられた.これら以外に, 細胞形がbizzarで, 細胞質がオレンジG好染性で濃く染まり, 核濃染傾向を示す細胞もみられた. 免疫組織学的には抗Herpes simplex virus1, 2型ともに核内および細胞境界部に陽性反応を示し, 電顕的検索でも核内および細胞境界部にウイルス粒子が観察された.以上より単純ヘルペスウイルス感染による食道炎と診断された.

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