日本臨床細胞学会雑誌
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穿刺吸引細胞診にて術前診断し得た膵原発粘液性嚢胞腺癌の1例
北村 玲子中野 勝彦小関 孝之吉田 豊飛岡 弘敏原田 浩関 利盛若山 明久川端 真
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1991 年 30 巻 6 号 p. 1078-1082

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抄録

穿刺吸引細胞診によって術前診断が可能であった膵尾部原発の粘液性嚢胞腺癌の1例を経験したので報告する.
症例は56歳, 女性.左上腹部腫瘤を主訴として来院し, 外傷の既往, 画像所見から臨床的には外傷性尿腫が疑われたが, 穿刺吸引細胞診では多量の粘液を背景とした高円柱状細胞の集塊に混在して, より異型の高度な腺癌細胞を認め, 粘液性嚢胞腺癌と診断された.その原発臓器については腫瘍の存在部位と推定組織型を勘案して, 膵臓が最も疑われた。摘出された腫瘍は, 肉眼的に膵尾部に連続して存在する多房性嚢胞性腫瘍で, 組織学的には大部分は異型に乏しい粘液性嚢胞腺腫の像で, その一部に乳頭状増殖の著しい粘液性嚢胞腺癌の成分を混在していた.すなわち, 細胞診における良性集塊と悪性集塊の混在性はこれを反映しているものと考えられた.
本症例では, 穿刺吸引細胞診によって腫瘍の悪性度, 組織型のみならず, 原発臓器の推定も可能であった.これは腫瘍の臨床診断における細胞診の有用性を示すものといえよう.

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