日本臨床細胞学会雑誌
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男性乳癌 (乳頭腺管癌) の1例
塚本 健一小山田 美穂三上 晴克小島 英明藤田 美悧須藤 幸夫鈴木 康弘高橋 基夫遠藤 隆志
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1991 年 30 巻 6 号 p. 1103-1108

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抄録

男性乳癌の1例を経験したので, 女性乳癌22例と臨床細胞学的に比較検討した.症例は71歳男性で1987年3月に近医で右乳頭部腫瘤を切除されるも, その後治療を受けずに放置していた.1990年3月に右腋窩部リンパ節腫脹に気付き当院外科を受診し, リンパ節生検の結果, 乳癌 (乳頭腺管癌) の転移と診断された.同時に術中捺印細胞診においても乳癌細胞を認めた.同年4月に右乳房定型的切断術が施行され, 局所再発はみられなかったが, 廓清されたリンパ節のほとんどに転移を認めた.
本例の細胞像を同じく術中捺印標本の得られた, 女性乳癌22例の細胞像と比較検討を行ったところ, 女性乳癌 (乳頭腺管癌) には細胞異型の高度なグループと軽度なグループに分けられ, ホルモン・リセプターは前者が陰性, 後者が陽性の傾向を示したが, 本例は異型の高度なグループに属するにもかかわらずホルモン・リセプター陽性を呈する点で女性乳癌とは異なっていた.また生物学的悪性度の指標になるといわれる癌遺伝子c-erbB-2癌遺伝子産物は女性乳癌3例で陽性を示したが本例は陰性であった.

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