日本臨床細胞学会雑誌
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腹水中にRussell小体様の封入体をもつ異型細胞が出現した回盲部原発の悪性リンパ腫の1例
三浦 弘資小池 美貴男藤原 さおり
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1991 年 30 巻 6 号 p. 1141-1146

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抄録

腹水中にRussell小体様の封入体をもつ異型細胞が出現した回盲部原発の悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.
症例は63歳男性で, 便秘, 排尿障害を主訴とし8ヵ月後手術が行われた.切除標本では, 回盲部に潰瘍形成性腫瘍がみられ, 肝曲部に壁内転移していた.組織学的には, 中型またはやや大型の核にくびれなど核形不正を示すリンパ球がびまん性かつ部分的に結節形成傾向を示しながら増殖する悪性リンパ腫 (Non-Hodgkin, diffuse, mixed cell type) で特徴的なこととして, 豊富な好酸性胞体をもち核が偏在するRussell小体様の封入体をもつ異型細胞が多数混在してみられた.酵素抗体法 (ストレプトアビジン・ビオチン法) にてIgM, κ がモノクローナルに染色され, リンパ腫細胞の分化成熟により免疫グロブリンを産生するようになったと考えられた.術後1ヵ月頃より, 腹水が貯留しはじめ穿刺細胞診が行われた.反応性中皮細胞, 組織球に混じってリンパ球が少数みられた.核にくびれがあるものとともに, Papanicolaou染色ではエオジン好性のcore状の胞体をもち核が偏在する印環様細胞を呈し, Giemsa標本では核を押しやる空胞状像として, Russell小体様の封入体をもつ異型細胞に一致する細胞がみられた.体腔液中にもこのようにまれではあるがRussell小体をもつ異型細胞が出現する悪性リンパ腫があることを念頭において細胞診断を行うべきである.

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