日本臨床細胞学会雑誌
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精巣鞘膜に発生したAdenomatoid tumorの1例
その捺印細胞像を中心に
福田 正彦大川 裕子山田 範幸田辺 一成小林 裕片山 博徳河合 俊明
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1991 年 30 巻 6 号 p. 1164-1168

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抄録

Adenomatoid tumorは傍精巣器官に好発し, 中皮起原が有力とされている比較的まれな良性腫瘍である.今回われわれは精巣鞘膜に発生したAdenomatoid tumorの1例を経験したので, その捺印細胞所見を中心に若干の文献的考察を加えて報告する.捺印細胞の特徴として, 1) 核内細胞質封入体, 2) 核クロマチンの微細顆粒状均等分布, 3) 小型で1個の核小体, 4) レース状で不均一空胞をもつ細胞質, 5) 正常中皮細胞様結合, 6) PAS染色陰性, アルシアン青染色陽性の粘液産生, 7) 上皮様細胞の出現が内皮様細胞の出現より優位, などがあげられた.組織所見で立方状の上皮様細胞と扁平な内皮様細胞が不規則な腺管形成するかあるいは索状配列を示し, 間質には弾性線維の増生やリンパ球の集籏をみた.免疫組織化学的にはサイトケラチン, ビメンチンが陽性で第VIII因子関連抗原, EMAが陰性であった.電顕所見では腫瘍細胞が構成する腺管内腔面に多数の微絨毛を認め, 細胞質内にトノフィラメントを有し, 細胞相互はデスモゾームにより接着していた.これらの所見は本腫瘍が中皮由来であるという考えと矛盾しないと思われた.

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