日本臨床細胞学会雑誌
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宮城県における喀痰細胞診を併用した肺癌集検の成績
高橋 里美薄田 勝男菅間 敬治佐川 元保佐藤 雅美太田 伸一郎永元 則義斎藤 泰紀藤村 重文仲田 祐橋本 邦久佐藤 博俊須田 秀一今井 督東岩井 久
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1991 年 30 巻 6 号 p. 995-1001

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抄録

昭和57年度から昭和63年度までの7年間の肺癌集検総受診者141万6936名中, 5.0%に相当する7万1043名に対して喀痰細胞診を施行した。全発見例499例中, 喀痰により148例 (受診者10万対208), X線により379例 (受診者10万対27), の原発性肺癌が発見された.そのうち, 28例は両者により発見された.喀痰から発見された女性の肺癌例はなかった.喀痰のみで発見された肺癌120例中116例は扁平上皮癌であった.
Occultcancerあるいは臨床病期1期の占める割合は, 喀痰発見例が148例中124例 (84%), X線発見例が379例中190例 (50%) と喀痰発見例の方が有意に高い値であった.病理病期0期および1期の占める割合も, 喀疾発見例が148例中98例 (66%), X線発見例が379例中138例 (36%) と喀痰発見例の方が有意に高い値であった.切除率も, 喀痰発見例が77%, X線発見例が65%と有意に喀痰発見例の方が高い値であった.Kaplan-Meier法による全発見例および切除例の5年生存率をみると, 喀痰のみによる発見例は, 85%, 88%であり, X線のみによる発見例の33%, 48%と比較して有意に良好であった.このことは, 肺癌集団検診における喀痰細胞診の有用性を強く示唆している.

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