日本臨床細胞学会雑誌
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乳腺の境界病変とその細胞診
元井 信万代 光一山上 啓太郎森脇 昭介土井原 博義高嶋 成光山内 政之
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1992 年 31 巻 1 号 p. 28-35

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抄録

乳腺の良性悪性境界病変の概念はかならずしも明確ではない.われわれは, 形態学的に良・悪性の決定ができない病変と定義し, 当院で経験した生検または手術材料の組織学的検索で診断の確定した良性病変272例と悪性腫瘍409例, 計681例の穿刺吸引細胞像を検討した.この範疇に入る症例には, 異型を示す良性病変と細胞診で悪性と判定し得なかった異型度の低い乳癌症例が含まれていた.良性病変では272例中46例 (16.9%) が悪性ないし悪性の疑いと診断されており, それには線維腺腫 (63%), 乳腺症 (24%), 乳頭腫 (13%) などの症例が含まれた.悪性腫瘍409例中44例 (10.8%) は異型性が弱く, 悪性の確診が得られなかった.これらの症例における細胞診と組織診の診断不一致の原因は, 穿刺吸引細胞が悪性細胞としての基準の一部のみしか満足しないためと考えられた.各種の新しい解析方法も境界病変では中間的成績を示し, 現状では良性・悪性の判定への応用に限界があった.これらの症例は穿刺吸引細胞診のみでは確定診断は困難で, 組織学的診断を必要とした.乳腺病変の組織学的判定には筋上皮細胞の存否が重要視されているが, 細胞診断においても筋上皮細胞の認識方法の改善により診断精度の向上が期待できる.

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