日本臨床細胞学会雑誌
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細胞診で結核性子宮内膜炎を疑った5症例
佐藤 育男竹内 理恵野末 悦子古嶋 英代新保 京子鳴子 富男塩川 章松岡 規男
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1992 年 31 巻 1 号 p. 65-69

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抄録

1984年3月から1989年2月までの5年間に, 子宮内膜細胞診または子宮頸部細胞診を行ったうち, 5例で結核性子宮内膜炎を疑い, その後の結核菌培養により確定診断を得た. 症例は, 56~70歳の閉経後の婦人5名で, 3例では結核の既往があり, 4例は不妊症であった.帯下, 不正出血を主訴とするものが多いが, 検診症例が2例あった. 子宮腔長は6~10数cmで, 2例では子宮腔内に液体が貯留していた. 細胞診所見は, いずれも炎症性背景 (好中球, リンパ球) に類上皮細胞の集塊が多くみられ, ラングハンス巨細胞や単核・多核の組織球もみられた. その後, 中断した1例を除き, 4例は化学療法にて治癒した. 閉経後の帯下・不正出血などの症例で, 不妊であった場合は, 子宮体癌はもとより結核性子宮内膜炎を疑う必要があり, 細胞診はその診断に有用であると思われる.

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