日本臨床細胞学会雑誌
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急速な悪性経過をとった若年型顆粒膜細胞腫の1例
加藤 拓高橋 久雄清川 尚松本 敬武田 敏
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1992 年 31 巻 1 号 p. 74-78

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抄録

急速な悪性経過をとった若年型顆粒膜細胞腫の1例を経験した. 症例は25歳の女性で胸・腹水を伴っていた. 腫瘍は右卵巣に発生し, その大きさ17×11×10cmで充実性と嚢胞性の部分が混在してみられた. 捺印細胞像は小円形で結合性を示す顆粒膜細胞と紡錘形で散在性を示す莱膜細胞が多数認められ, さらに少数の核偏在細胞, 細胞質が広く淡い黄体化細胞などとともにしばしば核分裂像も散見された. 成人型顆粒膜細胞腫との細胞像の違いは核溝の出現は少なく, Call-Exner小体はみられず, しぼしぼ核分裂像を認めることである. これらの細胞は免疫細胞化学的にVimentin, Desmin陽性を示した. また少数の核偏在細胞にはEstradiol陽性の所見を呈した. 電顕的にも顆粒膜細胞, 英膜細胞を確認し, その中間的細胞や線維芽細胞様細胞も認められた.
臨床的経過を裏付けるように腫瘍の異常な大きさ, 細胞の核異型度, 核分裂像の多さなど組織細胞学的にも悪性が示唆された.

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