日本臨床細胞学会雑誌
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大腸腺腫における臨床細胞学的検討
小野寺 博義桑島 一郎武田 鐵太郎中村 克宏小室 邦子大沼 眞喜子村田 孝次
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1992 年 31 巻 4 号 p. 584-590

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抄録

宮城県立成人病センターの症例で, ポリペクトミーあるいは手術により摘出され組織学的に大腸腺腫と診断された24例, および腺腫内癌11例について, 大腸腺腫および腺腫部分の細胞所見を検討した.
細胞集塊は3つの型に分類することが可能であった. すなわち, 核が細長く著明な多層性重積像を示し, 核の極性が保たれているI型, 部分的に核の軽度円形化と散在傾向があり, 極性に若干の乱れを呈するII型, 核の円形化が著明で散在傾向が著しく, 極性の乱れも著明なIII型である. これらが全例に認められるわけではなく, 大腸腺腫24例中1型のみがみられるもの8例, II型のみ1例, I型とII型が8例, II型とIII型が2例, すべての型がみられるもの5例であった. 大腸腺腫24例での核長径 (μ) は, I型14.6±2.9, II型13.1±2.4, III型12.3±2.7であった. 核長径・核短径比は, I型3.6±1.0, II型2.5±0.7, III型1.8±0.6であった.
腺腫内癌11例の腺腫部分にも, 大腸腺腫と同じ1型, II型, III型の細胞集塊がみられた. III型の細胞集塊は全例にみられたが, I型, II型の細胞集塊は症例により含まれていないものもあった. 核長径 (μ) は, 1型16.4±3.0, II型14.0±2.2, III型11.0±1.9であった. 核長径・核短径比は, 1型3.8±1.0, II型2.6±0.5, III型1.6±0.3で, いずれの型も癌を含まない大腸腺腫とほぼ同じ値を示した.
以上の結果および胃異型腺腫の細胞像との比較から, 1型の細胞集塊は軽度異型, II型は中等度異型, III型は高度異型と考えられた. 症例としてみれば, 1型のみでuniformな細胞所見を呈するものが軽度異型の腺腫, III型のほかにI型やII型の集塊もみられ多彩な細胞所見を呈するものが高度異型の腺腫, III型がなくII型がみられるもの (1型の有無は問わず) が中等度異型の腺腫と考えられた.

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