日本臨床細胞学会雑誌
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モノクローナル抗体Ber-EP4 (“epithelial antigen”) の体腔液細胞診への応用
伊藤 仁篠田 玲子赤塚 由子堀 貞明堤 寛長村 義之平薗 賢一篠塚 孝男藤井 明和
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1992 年 31 巻 4 号 p. 599-603

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抄録

体腔液中に出現する癌細胞と中皮細胞を鑑別するためにモノクローナル抗体Ber-EP 4を用いてその有用性について検討し, 同時にCEAについても行い比較検討した. その結果, Ber-EP 4は中皮細胞では陰性で, 癌細胞では陽性を示した. また卵巣癌症例を除いた癌症例29例の体腔液を用いた検討では, Ber-EP 4の陽性率は48%で, CEAにおける76%よりも低い結果を示した. しかし卵巣癌例の場合, Ber-EP 4の陽性率は高く, 卵巣癌患者29例の体腔液を用いた検討では, Ber-EP 4は93%の陽性率を示した. また卵巣癌組織46例のパラフィン切片を用いた検討では, Ber-EP 4は87%の陽性率を示し, 同時に行ったCEAにおける20%よりも著明に高かった. これらの結果よりBer-EP 4は中皮細胞と癌細胞の鑑別に有用であり, 特に卵巣癌で高い陽性率を示すため, 体腔液中の卵巣癌細胞と中皮細胞の鑑別には有用であることが示唆された.

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