日本臨床細胞学会雑誌
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気管支腺原発唾液腺型悪性混合腫瘍の1切除例
顕微蛍光測光法による核DNAヒストグラムの検討
木村 隆今井 督佐藤 達資金川 佳弘貝森 光大菅 三知雄小野寺 庚午
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1992 年 31 巻 4 号 p. 621-627

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抄録

気管支腺原発の唾液腺型悪性混合腫瘍と考えられる1切除例を経験したので, 細胞, 組織所見を中心に, 核DNAヒストグラムの検討を加えて報告する. 症例は57歳の女性で, 胸部X線異常で当科を受診した. 気管支内視鏡検査で左B3b+cに表面平滑な腫瘍を認めた.擦過細胞診, 生検組織診にて気管支腺由来の腫瘍が考えられ, 左上葉切除術が施行された. 気管支擦過細胞診では主に, 胞沫状の広い細胞質を持った, 異形性の軽度な腫瘍細胞を認めた. 捺印細胞診ではさらに, ライトグリーン好染の多辺型の細胞質を有する扁平上皮化生細胞も認めた.また硝子様の構造物から軟骨成分の存在も疑われた. 組織像では, 間質の硝子化と線維化が目だち, 主に多辺型の扁平上皮化生細胞と粘液細胞が混在していた. また紡錘型や, 好酸性で小型の腫瘍細胞が索状, 腺房状に配列し, 軟骨成分も認められた. 気管支腺原発悪性混合腫瘍と診断されたが, 本腫瘍の悪性度を検討するため, 顕微蛍光側光法を用いて核DNAヒストグラムを作成した. ヒストグラムはDNAdip-loidパターンを示し, 生物学的に低悪性度の腫瘍であることが示唆された.

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