28歳男性に発生した心外膜原発の悪性中皮腫について報告した. 心タンポナーデにて発症, 心嚢水細胞診および生検を施行したが確定診断のつかないままに腹膜炎を併発して死亡. 剖検にて心外膜に限局して発育する腫瘍組織を認めた. 組織学的, 組織化学的, および電顕的検索によりこの腫瘍は中皮由来のものと考えられ, また他の臓器には腫瘍性病変がみられなかったことより心外膜原発の悪性中皮腫と診断した. この腫瘍は, 本邦では50数例が報告されているかなりまれな腫瘍である. 本例は免疫組織学的にCEA陽性であるところが特異であった.