日本臨床細胞学会雑誌
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乳児腟の卵黄嚢腫瘍 (内胚葉洞腫瘍) の1例
細胞診を中心に
笹生 俊一浅沼 美貴子井筒 俊彦西谷 巌高野 長邦
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1992 年 31 巻 6 号 p. 1033-1036

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抄録

乳児膣のyolk sac tumorから擦過細胞診を行い, その細胞像を中心に報告した.
症例は4ヵ月の女児で, 出血性のsarcoma botryoides様の腫瘤が腔より突出しているのに気づいて来院.腫瘍からの擦過細胞診と生検がなされた. 塗抹された腫瘍細胞は, 孤立散在性あるいは集合性であった. 細胞質はライトグリーンに淡染し, 泡沫状で小空砲もみられた. 核は類円形ないし楕円形で大小不同があり, くびれを有するものもみられ, 核縁は肥厚し, クロマチンは細穎粒状で増量していた. 核小体は一個から数個で大型であった. 細胞集塊には, 細胞が互いに連なって網状構造を示しているものをみた.
組織学的に腫瘍組織は空胞状, 粗網様構造を示し, Schiller-Duval bodyはみられなかった. PAS弱陽性でジアスターゼ消化抵抗性の硝子様球状物質がみられた. 免疫染色で腫瘍細胞の一部がα-フェトプロテイン陽性であった.

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