日本臨床細胞学会雑誌
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子宮体部ミューラー管混合腫瘍の3例
三浦 弘守宮田 清美仁平 博子鈴木 不二彦青木 幹雄望月 博守矢 和人
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1992 年 31 巻 6 号 p. 1048-1052

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抄録

子宮体部ミューラー管混合腫瘍は比較的まれで予後不良な疾患であり, 術前に診断を得ることは困難なことが多い.
当院において1987年から1989年の3年間に術前の細胞診で診断し得た3例の本腫瘍を経験したので報告する. 症例は67歳, 54歳, そして54歳の閉経後の婦人で, 3例とも不正性器出血を主訴として来院した. 外来で子宮頸部, 子宮内膜細胞診 (1例は増淵式吸引法, その他はエンドサイト法) が行われた. 子宮内膜細胞診ではそれぞれに共通して, 血性壊死背景のなかに腺癌細胞の集塊と, 多彩な形態を示す肉腫様細胞が同時に認められた. また腺癌細胞の胞体内に硝子様物質が少数みられた. エンドサイト法は吸引法と比較すると変性の少ない腫瘍細胞が多数採取された. 最終病理組織診断は, 2例が癌肉腫, もう1例は中胚葉性混合腫瘍であった.
子宮頸部および体部の細胞診において, 腺癌細胞のほかに奇怪な形の異型細胞を認めた場合には, 本腫瘍の存在も疑ってスクリーニングすることが重要である.

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