日本臨床細胞学会雑誌
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病変の深達度別にみた気管支原発早期扁平上皮癌および境界病変の擦過細胞像の検討
佐藤 雅美斎藤 泰紀永元 則義遠藤 千顕薄田 勝男高橋 里美菅間 敬治佐川 元保太田 伸一郎藤村 重文
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1992 年 31 巻 6 号 p. 897-904

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抄録

上皮内癌を含む胸部X線無所見気管支原発早期扁平上皮癌例および境界病変例を対象として, その擦過細胞像を病変の深達度別に検討し, 以下の結論を得た.
1) 擦過細胞像の検討では, 病変の深達度が増すにつれて, 核形不整の程度, 核面積, 核小体数, 出現する異型細胞数, 解離係数などが増加していた.
2) 個々の細胞異型からは浸潤が平滑筋層を越えると進行癌と同等となっていた.
3) 細胞の配列の乱れは浸潤が軟骨を越えた場合著明で, 胸部X線無所見肺癌では壊死性背景はまれであった.
4) これらを総合し, 擦過細胞像から, 胸部X線無所見肺癌の各病変の深達度を推定することがある程度可能であることが示唆された.今後, 手術術式を含めた治療法の選択に際して有用な情報を提供するものと考えられた.

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